世界広しと言えども唯一無二の傑作。アワビを用いた魚醤【あわびの精】

こんにちは、食材・調味料ブロガーの、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)です。

当ブログでは伝統調味料も積極的にご紹介しています。

特に魚醤についてはファンを増やしたいと考えています。

 

魚醤はマニアックな調味料とみなされがちですが、タイのナンプラーに馴染んだ現代人であれば、魅力をきっと再発見するはず。

そこで、今回は大変珍しいアワビを用いた魚醤を発見したので、記事を書きました。

f:id:edomae-sushi:20200802180712j:plain

岩手県大船渡市で作られる【あわびの精】と言う魚醤で、生産量の少ない逸品です。

 

【あわびの精】を開発するメーカー・浅沼醤油店とは?

【あわびの精】は、盛岡市の老舗醤油会社「浅沼醤油店」さんが発酵、熟成させて作った魚醤です。

しかし、鮑の産地は岩手県大船渡市で、「野村海産」さんの鮑の肝を使用しているそうです。

市を超えてお互いの強みを活かした銘品開発するなんて素晴らしい試みですね。

 

「浅沼醤油店」さんは、エゴマやマスタードの発酵調味料で特許と取得されていたり、盛岡の第一学院高等学校の学生さんと調味料を開発されていたり、岩手県各地域と連携してOEM開発されたりと、大変先進的な試みをされているメーカーです。

1914年に創業された老舗でありながら、未来に挑戦する姿勢が素晴らしいと感じます。

こう言ったメーカーが地元にあれば、Uターン就職しても楽しそうだな…と思いました。

Uターン就職ではなくとも、実業家としてOEM調味料で一旗揚げる夢がある気がします。

 

なぜ大船渡で他に類を見ない鮑の魚醤が生み出されたかと言うと、実は大船渡が世界に誇る干しアワビの名産地だからです。

県内の海域で獲れる大型の蝦夷アワビは干しアワビに加工され、世界的な高評価を得ています。

香港でトップクラスの扱いを受ける、日本の【吉品干鮑】とは?

具体的な名産地の名は、大船渡市三陸町にある吉浜(よしはま)。

吉浜の干しアワビは【吉品干鮑(きっぴんかんぽう)】と呼ばれ、香港でも【吉品鮑】で通用しています。

価格としてはトップクラスで、他国の他の産地を凌ぐ高級干しアワビです。

f:id:edomae-sushi:20200803222740j:plain写真:香港の香港の乾物屋さんにて…1斤=605グラム11.9万円=キロ19.7万円!

大船渡では江戸時代から干しアワビが作られていて、その頃から中国に輸出していたと言う長い歴史があります。

その後、明治時代に事業化を図り、ブランド化にも成功し、今の地位を確立しました。

 

それ故に「吉浜鮑」ではなく「吉品鮑」と表記する訳ですね。

それと言うのも、中国では「吉」と言う漢字は大変良い意味合いを持つので、「浜」を「品」に変えて、「幸運をもたらす品物」と言う意味にしたと言う事です。

ビジネスのセンスとブランディングの重要性を感じます。

 

そのような名産地で、乾物に使えない肝を巧みに利用したのが【あわびの精】です。

普通の業者が鮑の肝を仕入れて魚醤を作るとなると原価がハンパ無い事になるので、素晴らしい方法だと思います。

食材のムダが無く、生産者と消費者の両方に嬉しい調味料開発です。

三陸の海が育む魚醤の傑作!【あわびの精】の比類ない美味しさ

【あわびの精】をダイレクトに体感すべく、TKGにしました。

良い醤油や個性的な醤油は、TKGに限る!と思います。

【あわびの精】のTKG(卵かけご飯)

f:id:edomae-sushi:20200803222745j:plain

TKGは、「ご飯に卵白のみ混ぜて、醤油をかけてから卵黄を混ぜる」方法で頂きました。

この食べ方は、魯山人醤油の記事に詳しく書いています。

 

肝心の【あわびの精TKG】の味わいとしては、濃厚なアワビの肝の風味に心から驚かされました。

一口頂いて、「これは、高級鮨店で出てくる【アワビの肝混ぜご飯】の味ではないか!」と。

本当に濃厚かつ濃密な味わいで、ついつい笑いが出ちゃいました。

 

そこで、もう少し「調味料的に」頂いてみようと試みたのがビーフンです。

【あわびの精】のビーフン

f:id:edomae-sushi:20200802180717j:plain

【あわびの精】を純米酒で割って使いました。

すると、アワビの肝の風味・旨味が良い感じにビーフンに浸透し、これは抜群でした。

箸が止まらない味わいです。

 

大量に使うと勿体ない調味料でもあるので、割って浸透させるのは正解かもしれません。

まとめと【あわびの精】の入手方法

結論として、【あわびの精】は誰しもの記憶に鮮烈に残る味のだと感じました。

乾物の副産物である肝を利用している点も、今日の価値観(SDGs)的に良いですね。

 

生産量は少ない調味料かもしれません。

また、入手経路も限られてきます。

しかし、アワビの肝や魚醤が好きな方ならば、手配して損の無い逸品だと思います。

 

大手ECサイトでのネット通販はしていない状況なので、「浅沼醤油店」さんの運営するサイト経由で入手可能です。

▶浅沼醤油店 食楽日和:あわびの精

品切れになっていることもあるので、ご注意ください。

 

あるいは、岩手県大船渡市のふるさと納税の返礼品として入手可能です(発見した時は感動しました!)。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

【ふるさと納税】野村海産 あわびの精(醤油)100ml×2本
価格:10000円(税込、送料無料) (2021/9/2時点)

楽天で購入

 

 

上記の「浅沼醤油店 食楽日和」で品切れになっていても手に入ることがあるので、裏技かもしれません。

 

【参考記事】

魚醤好きならばぜひ!いしりの記事

一般的に入手できるナンプラーの比較記事

 

魚醤は料理をカンタンに美味しくする魔法の調味料だと思う、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)でした。

▲目次へ戻る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA